伝え方次第でプロモーション効果が大きく変わる!ユーザーエクスペリエンス(UX)の世界
ゲームアプリの周年施策とか、100日運営記念施策とか
なにかしらアプリ運営の区切りのタイミングで目にする事が多いプロモーションコピーとして
「ユーザーに感謝の気持ちを込めて〇〇〇をプレゼント」
みたいなものがあるのですが、
ここで使われている「ユーザーに感謝の気持ちを込めて」という点について
個人的にはどうも違和感を感じてしまうのです。
「感謝の気持ちを込めて」というけれど
「本当に感謝の気持ちがあるの?」
とちょっとばかり、ひねくれた視点でみてみたり
「感謝の気持ちってそんな言葉で伝わるの?」
と目にみえない「気持ち」なるものを伝えられるのか
と思ってみたり。
でも、1周年、2周年とこれまでゲームアプリ運営を続けてこれたのは
ファンの皆様に支えられてきたから。
ゲーム開発、運営サイドが持つ、その想いは変わらないのは事実。
そこで今回は「感謝の気持ち」を
プロモーション施策を通して上手く伝える方法について
3つの視点から考えてみたいと思います。
今回とりあげた視点をうまく使いこなせると
・ユーザーとコミュニケーションを深めて
・ユーザーの体験を高めることで
・ユーザーの熱量をさらにあげて
・ユーザーにもっと、もっと、そのゲームを好きになってもらえる
という効果が期待できます。
その結果、ユーザーリテンション(=継続率)を維持し
長くゲームをプレイしてくれる状態を作り出せるので
ゲームアプリ運営の安定化に繋がるという話です。
普段、ゲームマーケティングをしている人でも、あまり気にしたことがないかもしれない、ちょっと深い話なのですが、これって、とても大切な話なので、最後までお付き合いください。
①気持ちは包み隠さず「ストレート」に伝えた方が伝わる
恋愛においても、好きなら、好きって伝えないと
テレパシーが使えない限り、その想いは伝わりません。
感謝の気持ちを伝える時も
「ユーザーに感謝の気持ちを込めて〇〇〇をプレゼント」
といった、遠回しに「感謝の気持ち」を伝えずに
「ありがとう!本当に応援してくれてありがとう」
とストレートに伝えるべきです。
「ありがとう」と言われて、嫌な気持ちにはなる人はいません。
むしろ、遠回しな表現をすることで
「裏がなくても、なんか裏があるんじゃないのか?」
と不要に勘ぐられてしまうものです。
「ユーザーに感謝の気持ちを込めて〇〇〇をプレゼント」
ではなく、
ただただ、シンプルにユーザーに向かって「ありがとう」と伝えましょう
②気持ちは「デジタル」よりも「アナログ」が伝わる
シンプルな話として
電子メールよりも、下手な文字でも手書きの手紙の方が気持ちは伝わります。
スマホゲームアプリのプロモーション施策とはいえ
デジタルなフォントの羅列よりも
あえて気持ちが伝わる「手書き」を活用するのも「ありがとう」という
感謝の気持ちを伝える手段のひとつだと思います。
わかりやすい例として次のようなものがあります。
Fate Grand Orderとチキンラーメンのひよこちゃんコラボをご存知ですか?
チキンラーメンのひよこちゃんがTwitterで手書きの「夢ノート」を公開するプロモーションがありましたが、この「夢ノート」は手書きでなくても、デジタルなバナーや、デジタルな特設サイトでも表現することはできたはずです。
しかし、あえて人間味溢れるアナログな手書きのイラストで(しかも絵は下手である)ひよこちゃんは気持ちを伝えようとした結果、大きな共感を得ることができました。
デジタルが氾濫している中で、これこそアナログ的アプローチが、ファンの心を動かすチカラがあることを証明してくれた事例だと思います。
最近のボクがハマっているもの、それは……Fate/Grand Order!!!最高だよ、最高すぎるよ~!いつかコラボできたらなあ。ああ~!妄想が溢れて止まらないっ! #ひよこちゃんの夢 #FGO pic.twitter.com/AolAc068LZ
— チキンラーメン ひよこちゃん (@nissin_hiyoko) July 17, 2018
とはいえ、細かいデータの羅列や、伝えたいことが膨大な場合は
デジタルの方が効率良く伝えやすいかもしれませんが
今回のように「感情を動かしたい」場合は
あえてアナログな手法を取ってみるのも効果的です。
③伝える側よりも「受け手の体験」を意識した方が伝わる
ゲームアプリのプロモーションに限らず
あらゆる宣伝、マーケティング活動において
一般的に伝えたい企業側の強い想いが出過ぎる傾向にあると思います。
「これがベストな伝達手段だ」
「わかりやすくインパクトがある内容だ」
「いままでも、そうやって伝えてきたし」
と疑うことなくゲーム運営や、プロモーション担当は情報をユーザーに届けようする傾向にあります。
しかし、本質に迫るならば
受け手であるユーザーがどう感じるのか
それをもって、どんな感情が生まれ、どんな体験をするのか
深く考えるようにする必要があります。
たとえばこんな感じでユーザーがどう感じるのか深く考えると、情報の伝え方がうまくなると思います。
それを伝えたら
・ユーザーはどう感じるのか
・理解できるのか
・誤解しないのか
・結果、どういう想いになって
・どんな行動を起こすのか
このあたりを細かく分解しながら、突き詰めていくと
より適切に、効果的に「気持ち」が伝わると思います。
まとめ
今回は「気持ちの伝え方」について書いてみました。
ユーザー体験を意識した「気持ちの伝え方」は、ゲーム運営やゲームプロモーションにおいては、まだまだ未開拓の分野なので、改善の余地がありそうです。
最後に、同じことを伝える場合でも
伝える相手の状態によって、その伝わり方は異なるという話をしたいと思います。
これまでずっと、いままでのやり方で情報を伝えてきたのに
いきなり気持ちを込めて丁寧に伝えようとしても、
相手のコンディションが追いついていないから
丁寧に伝えても、伝えきれないということもあるかもしれません。
つまり、ゲームアプリの運営やプロモーションは
そのゲームが発表され、配信され、運用されていく長い過程の中で
常に伝え方に注意し、信頼関係を積み上げて
情報が伝わりやすいコンディションをつくっていく必要があるのです。
そう考えると
新作ゲームを発表するときから、
どのようにコミュニケーションを取っていくのか
細心の注意を払いながら、ゲームの運営計画や、マーケティング戦略を
組み立てていく必要があります。
見落とされやすい分野ですが
アプリ配信前からここをしっかり押さえることで、ライバルに大きなアドバンテージをつくる事ができます。