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ニンテンドーラボはニンテンドースイッチの普及をさらに加速させる切り札になるか?

ゲーム業界
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【ゲームマーケティング考察】周辺機器ビジネスの概念を変えるニンテンドーラボから目が離せない

実際に面白いのか?遊んでみたら面白いかもしれないけど、すぐ飽きるのではないか?

そんな疑問よりも、パッと見ただけで「ワクワクする新しい驚きの体験」が、なんかできそうな気がする、そんな「感情に訴えかける商品コンセプト設計」はさすが任天堂だと思います。

発売日は2018年4月20日

ダンボールでピアノや釣り竿など様々なデバイスがつって、ジョイコンと組み合わせることで様々な遊びができる「バラエティキット」と、ロボットを作れる「ロボットキット」の2種類が同時発売される予定です。

いずれも「Toy-con01」「Toy-con02」とナンバーが振ってあることからも、この新しい遊びが受け入れられれば、さらなるシリーズ展開も想定されているのかもしれません。

4月20日という発売日はゴールデンウィーク1週間前

シリーズ化されるのであれば、夏休み、年末年始といった長期休暇前に発売して、まるで「夏休みの宿題として与えられた工作をこなすような」ポジショニングを狙っているのかもしれませんね。

Nintendo Labo(ニンテンドーラボ) 初公開映像

 

【考察1】なぜニンテンドーラボは生まれたのか?

「ニンテンドーラボキャンプ」という親子でニンテンドーラボを一足早く体験できるイベントの開催が決まっているようですが、このことからもニンテンドーラボは

親と子をつなぐコミュニケーションツールとして提案しながら、ニンテンドースイッチ本体を普及させていきたい

という任天堂の戦略が見え隠れします。

Wii本体 (シロ) (「Wiiリモコンジャケット」同梱) (RVL-S-WD) 【メーカー生産終了】 

Amazon APIのアクセスキーもしくはシークレットキーもしくはトラッキングIDが設定されていません。「Cocoon設定」の「API」タブから入力してください。

Wiiが「家族みんなでリビングで楽しむゲーム機」というファミリー単位での遊びを提案したことで大ヒットしましたが、Wiiと同じようにリビングを中心にさらなる存在感を高めようとしたWiiUはうまくいかず、携帯ゲーム機と据え置き機の中間を狙ったニンテンドースイッチでは、ゲーム機としては成功を収めつつあるものの、Wiiのような

「PS4とは明らかに違う、独自性のあるゲーム機」

というポジション獲得までには、まだいたっていませんでした。

そこで、Wiiで成功を収めた家族という大きな単位から、もっとターゲットを絞った親子という単位に向けて、ニンテンドースイッチを普及させていくために、今回、ニンテンドーラボを提案したとしてもおかしくないでしょう。


1-2-Switch (amazon)

「Wiiのような新しい遊びをニンテンドースイッチでも提供したかった」

だから、ジョイコンという新しいコントロールデバイスの魅力を伝えるべく、1-2-switchのような「ジョイコンに特化した遊びを楽しめるソフト」も用意されていますが、現時点で「1-2-switch」のようにジョイコンに特化したタイトルはこれ1タイトルのみ。

まだまだ「ニンテンドースイッチだからこそ楽しい遊び」を提供できていないという想いが任天堂にあったのかもしれません。

【考察2】ニンテンドーラボは任天堂だからできた企画

ニンテンドーラボ構想はニンテンドースイッチ本体の企画、設計段階からあったのか?または、ニンテンドースイッチ本体の企画が固まってから、また発売後から立案されたのか?

いろいろ想像はできるものの、実際のところはわかりません。しかし、こんな企画が実現してしまうのは「任天堂だから」という部分が大きいと思います。

その1:ハードメーカーだから

ソフトメーカーはそのソフト単体の収益でしかビジネスモデルを構築できません。つまり、そのソフトが売れて、一定の利益を得られるのか?が企画を通す上で重要なポイントというわけです。(ソフトメーカーですから、あたり前の話ですよね)

よって、利益率の低い、あまり儲かりそうになく、ただただリスクだけが大きい企画は健全な会社経営を行う上でどうしても避けなければなりません。

一方で任天堂のようなプラットフォーマー(=ハードメーカー)はソフト単体の売り上げも重要ですが、将来の売り上げを作り出すために、ニンテンドースイッチのような自社ハードを普及させる必要があります。

よって、ソフト単体の利益率が低くても、赤字にならないのであればハードを普及させるための施策として企画を通しやすいというメリットがあるのです。

特に今回のニンテンドーラボのターゲットは「親と子」という、ファミリー層に受け入れられたWiiに続いて成功を収めるべく、ニンテンドースイッチのプラットフォームの裾野をさらに広げるための戦略商品と推測されます。

ニンテンドースイッチをさらに低年齢層まで普及させて、ニンテンドー3DSとの連携で、「子供からその親まで、世代を問わず楽しめるゲームデバイス群」をつくりたいと思うのはマーケティング視点からみても極めて自然な考え方です。

 

その2:任天堂の歴史から見えるカルチャーから

WiiではWiiリモコンを使った体感的なゲーム操作を実現したり、2つの液晶画面を採用したニンテンドーDS、3D表現にこだわったニンテンドー3DS。

ファミリーコンピューター ロボット ジャイロセット (amazon)

さらにファミコン時代まで遡ると、ファミコンの周辺機器としてロボットを発売していたり、

ソニー、セガが作ってきた当時の最新技術を詰め込んだゲームをするためのデバイスというポジションと比べると、任天堂のハードは必ずしも最新技術にはこだわらず、既存技術の組み合わせで低コストながらも、アイディアを振り絞って常に「新しい遊びの可能性」にチャレンジし続けて印象はあります。

「なぜ、ソニーはプレイステーションでこんな企画を出せないのか?」

みたいな意見もあるかもしれませんが、ファミリーや、親と子をターゲットにしているWiiやニンテンドースイッチに対して、PS4はプラットフォーマーとしての戦略が任天堂ハードとは異なるだけに過ぎないのです。

よって同じゲーム機だから市場競合するように見えて、PS4とニンテンドースイッチはそれほど競合せず、共存してきた、というのが事実かもしれません。むしろPS4とXboxOneの方が競合度は高いと思います。

よって、ソニーが「ニンテンドーラボ」のようなtoy-conを作れない、企画できないのではなく、戦略上、そこに注力する必要がない、というところでしょう。

むしろソニーは新型AIBOのようなロボット事業もしている企業ですから、ニンテンドーラボのようなコンセプト商品は遠い存在ではないのかもしれませんね。

【考察3】10年前にセガがニンテンドーラボに近いゲームを発売していた

レッツタップ – Wii (amazon)

今回のニンテンドーラボの発表を見て、真っ先に思い浮かんだのが、2008年にセガがWiiで発売した「レッツタップ」というタイトル。

・付属品のダンボールの箱の上に

・Wiiリモコンのボタン側を下に置いて

・ダンボールを叩くと

・その振動でWiiリモコンのボタンや加速度センサーが働いて

・ゲーム内のキャラクターが走ったり、ジャンプしたりする

というニンテンドーラボで実現している、ジョイコンのボタンへの衝撃、加速度センサーをダンボールを通じてアナログ振動で操作するという仕組みに近いものがあります。

Wiiでレッツタップが発売されたのは2008年。その年の日本ゲーム大賞フィーチャー部門も受賞したくらい当時画期的なアイディアとして話題になりました。

残念ながらレッツタップは大ヒットとまでは至らず、その後、家庭用ゲームで続編が作られることもなく、他社はこのギミックを流用したタイトルを発売することはもありませんでした。

しかし、ダンボールの振動を通じて、コントローラを直感的に操作するという「レッツタップ」のコンセプトは、今回のニンテンドーラボの企画になんらかの影響を与えたのかもしれませんね。それほどアイディアとしては当時、画期的なものでした。

Let's Tap Wii – Japan Trailer

【考察4】ニンテンドーラボが本当に凄いところ

「ダンボールとジョイコンの組み合わせで、いままでにない新しい遊び体験ができる!」

という部分ばかりに目がいってしまうのですが、実はニンテンドーラボは周辺機器を絡めた「周辺機器ビジネス」に一石を投じる商品になる可能性があります。

PlayStation VR PlayStation Camera 同梱版 (amazon)

従来の周辺機器ビジネスといえば、「ゲームソフトをもっと楽しむための追加デバイス」または「専用ゲームソフトをプレイするために必要な機器」という言い方もできるかもしれません。

たとえば、いまだに大人気で品薄気味なPSVRでイメージしてみると

・生産コストが高く、メーカーの利幅も低い(あんまり儲からない)

・再生産に時間がかかる(需要を読み間違えると長期欠品、または品薄になる)

・大量生産したくても生産コストが高く、倉庫の場所も取る。もし在庫を余らしてしまうと企業としてはリスクが高い

といった点が悩みどころだったりします。

これはPSVRに限った話ではなく、多くの周辺機器生産において言えることです。

しかし、今回発表されたニンテンドーラボにおける周辺機器はなんとダンボール!!ダンボールですから

・畳めば場所を取らない

・生産コストは安い(だって所詮、紙ですから・・)

・紙だから再生産に時間がかからない

といったように、これまでの周辺機器ビジネスで抱えていた課題を一挙に解消してくれる可能性があります。

あえて欠点をあげるとするとダンボールゆえの耐久性はあるかもしれません。

・ダンボールだから体重をかけたら潰れる(へこむ)

・ダンボールだから水や湿気にも弱い

所詮ダンボールですから、実際に購入する消費者も「耐久性はなさそう」「体重をかけたらへこむ」ということは容易に想像できそうですが、とはいってもユーザーサポートの観点からみると一定の問い合わせは覚悟する必要はある商材とも言えます。

【考察5】ニンテンドーラボのコンセプトってスマホでもできる!?

Linkcool Google Cardboard (amazon)

ダンボールとジョイコンの組み合わせで楽しむニンテンドーラボですが、よく考えればスマホもダンボールと組み合わせれば、同じようなコンセプトのアプリが作れそうな気はします。

しかし、結論から言うと、ニンテンドーラボほどに真剣に取り組むソフトメーカーは、ほとんと現れないのではないでしょうか。参入の障害となりそうなポイントとしては

・スマホにはジョイコンのような物理的なボタンがない(ダンボールの細かい振動を計測できない)

・スマホアプリとダンボールを売ってもそれほど儲からない(ゆえにニンテンドーラボほどアプリやダンボールのギミック開発予算をかけられないからクオリティもあがらない)

といった点があげられます。

やはり「ニンテンドーラボ」が実現したのは、任天堂がプラットフォーマーであり、ニンテンドースイッチの普及が戦略の要ということにつきます。

ソフトウェアメーカーがソフト単体の収益だけで開発しても、一定のリターンが見込めなければ、開発費に大きな投資もできず、企画は通しにくいというところはあります。

でも、任天堂ができると言うことは、スマホ業界のプラットフォーマーであるgoogleやAppleならできる可能性はあるということかもしれませんね。

まとめ

というわけで、今回、ニンテンドーラボについて深く分析してみました。任天堂としては親子をターゲットにした商品のように見えますが、パンサー戦車を組み立てる雑誌がヒットしているように、大人だって好きなジャンルなんです。

パンサー戦車をつくる(1) 創刊号 2018年 1/10 号 [雑誌] (amazon)
ニンテンドーラボの発売は2018年4月20日、ゴールデンウィーク直前の発売ということで、ゴールデンウィーク休みはニンテンドーラボを使って親子で楽しんではいかがでしょうか?

そして、まだニンテンドースイッチ本体を持っていない人は、これでまたひとつニンテンドースイッチ本体を購入する理由ができたような気もします。

また、ニンテンドースイッチ本体をなかなか買ってもらえないお子様たちも、

「親といっしょにニンテンドーラボを遊びたいからニンテンドースイッチ本体を買って!」

とおねだりすれば、スイッチ本体をゲットする近道なのかもしれません。

あ、そうか、親と子の両方に対して「ニンテンドースイッチ本体を購入するための言い訳」を提供することが、ニンテンドーラボの「裏の目的」なのかもしれませんねw

さすが任天堂です。