ログボの必然性って何?ログボって本当に必要なの?シンプルな質問で見抜くゲーム開発・マーケ宣伝スキル
どんなスマホアプリにあたり前のごとく実装されている機能「ログインボーナス」
しかし、当たり前の機能がゆえに「何のためにログボってあるの?」
という質問を投げかけてみると、答えられない開発や宣伝マーケティング担当って
実に多いんです。
ゆえに、初めて会ったゲーム開発者や、宣伝マーケティングをやっている人に
雑談程度に「何のためにログボってあるのかねぇー?」質問を投げてみると、
そこから戻ってくる内容で
この人、良く考えてゲーム開発や施策をつくっているんだなー
とか
この人、今のところヒットを出しているけど、2本目、3本目は難しいだろうなー
となんとなく、わかってしまうものです。
ゲームの世界で成功するには「運」も大きな要素です。
たまたま担当したタイトルがヒットしてしまうラッキーな事案も横目で何度も目にしてきました。
そこから2本目のヒットを出せるかは本人の能力次第。
しかし「運」だけで成功体験をしてしまうと「運」を「能力」と勘違いしてしまい、スキルアップへの努力を怠ってしまう人が多いのです。でもそれでは2本目のヒットをなかなか生み出す事はできません。成功に甘んじる事なく常にスキルアップを怠らない姿勢って重要です。
「何のためにログボってあるの?」
シンプルな質問だけど、奥が深いんです。
シンプルな事に対しても「なぜ」「なぜ」「なぜ」を意識せずに繰り返すことができればもっと成長できるのです。
ログインボーナスの目的、役割とは?
ログインボーナスの目的と役割は?という質問をしたらほとんどの人が
こんな回答をするかもしれません
【目的】継続プレイ促進、離脱防止
【役割】毎日何かしら報酬が貰えることで、翌日もゲームにログインしようというモチベーションを維持
間違ってはいないですが、これでは、ちょっと深掘りが足りないと思います。
ゲームには「ゲーム本編」「ゲームに付随」する2軸において、「短期目標」「中期目標」「長期目標」といった3つのプレイ目標があります。
ゲーム本編「短期目標」「中期目標」「長期目標」
ゲーム付随「短期目標」「中期目標」「長期目標」
「ゲーム本編」とは、各ステージクリアやストーリークリア、レベルアップ等、ゲームをプレイする中でモチベーションとなる目標のことをさします。
「ゲームに付随」するものとは「ログボ」「無料ガチャ」「アイテム付与」といった
ゲームに直接関係なく貰える報酬によってモチベーションを刺激するものです。
よって「ログボ」はゲーム本編とは切り離された「ゲームに付随」する「短期目標」、短期的なモチベーションを維持する施策というわけです。
ログボといえば、最大でも10日間くらいが多いのですが、
「10日間毎日ログインしたくなるモチベーションを喚起するもの」が
ログインボーナスの基本的な役割になります。
そして、その目的となるものはユーザーを維持する事です。
まとめると
ログボの目的は「ユーザーを維持すること」
ログボの役割は「ログインしたくなるモチベーションを喚起すること」
と整理されます。
スマホアプリとして避けられない摂理として
「獲得したユーザーはその瞬間から辞めていく(離脱する)」
という事があって、コストをかけて獲得したユーザーをどうやって維持するのか
ゲーム開発者、運営者、マーケ、宣伝担当者にとって最大の課題がここにあります。
獲得したユーザーは1、2、3日と時間の経過に伴い続々と辞めていきますので、その辞めていく減衰率を抑える役割をログボには期待しながら、本来、ログボの中身を設計するわけです。
当たり前のことですが、目的と役割を整理し、ログボを設計されていますか?
この問いに対して迷いなくYESと答えられるようになりたいものです。
ログボは実施時期によっても役割は違う
ログボの目的と役割を整理することの大切さをまとめてきましたが、その役割にも様々な種類があります。
たとえば、アプリ配信時に用意されている「新規ユーザー向けのログボ」と
1年間プレイした「コアユーザ―向けのログボ」では、ログボに求められる中身は違ってきます。
たとえば実施時期におけるログボの役割を3つに分けてみましょう
①アプリ配信時(新規ユーザー向け)
②アプリ配信1か月(既存ユーザー向け)
③アプリ配信1年(既存ユーザー向け)
①アプリ配信直後は、全員がゼロからのスタートですから、ゲームもまだ全然進んでいない状態です。そこで毎日プレゼントするとゲーム初動のプレイに役立って嬉しいアイテムとは?という視点でログボ内容を考える必要があります。
②アプリ配信1か月後は、これからこのゲームをこのまま続けていいのか(時間をかけるだけの価値があるのか?)冷静になって考えてみるユーザーが多く、その結果、多くのユーザーが辞めてしまう恐れがある時期です。
一方で、まだ配信1か月以内ということで、既に辞めてしまったユーザーも、まだ戻せるギリギリのタイミングだったりします。そんなセンシティブな時期にユーザーのモチベーションをあげるアイテムとは?という視点でログボを設計する必要があります。
③アプリ配信から1年経過後もプレイしてくれているユーザーはこのゲームを心から愛してくれている優良ファン。でも、やりこんでいるゆえにゲームに期待する要望も高く、ちょっとやそこらの事ではモチベーションはあがらない状態にあります。そんな時にモチベーションがあがるアイテムとは?という視点でログボを設計する必要があります。
いかがでしょうか?
これ以外にも細かい分け方ができるのですが、3つの時期におけるログボの役割、必要な内容が全く違う事にお気づきでしょうか?
ログボって本当に必要なの?
というわけで、ここからが今回の本題です。
効果はあるよねー
まさか効果がないなんて疑いもしないよねー
あたり前に実施しているログボですが、
本当のところは
「効果ないんじゃないの?」
「いらないんじゃないの?」
という話。
「正直なところ効果ゼロとは言わないけど、以前に比べると効果は低下傾向にある」
と考えています。
その理由は2つあります。
【1つ目】
ログボという施策自体が特別なものではなくなっているということ。
もはやログボなんて、あって当たり前の機能であり、ユーザーは慣れてしまっているので、豪華なログボがあってもゲームを継続プレイするためのモチベーションアップには繋がりにくい。
【2つ目】
ログボはゲームの面白さを高めるものではないということ。
ログボで豪華で役立つアイテムを貰えれば瞬間的にはプレイヤーのモチベーションを高めてくれるけど、少し前でも説明した通りログボは「ゲームに付随するもの」であり、面白さを作り出すものではないということ。
ゲーム本編の面白さがあった上で、そこに対する誘導(=継続プレイ)を促すのがログボであって、主従関係を整理すれば【主】がゲーム、【従】がログボとなります。
よってゲーム本編が面白くない状態で、いくら素敵なログボを用意しても何も問題解決しません。
「ということはログボを辞めろということ!?」
という声が聞こえてきそうですが、そうではありません。
・ログボ施策だけでなく、それと別にゲーム本編と連携した施策がセットで必要
・かけられる工数に上限があるならば、あえてログボ施策はやめて他の事にかけた方がいいかも!?
というドラスティックな判断を、ゲームアプリのフェーズやコンディションを見極めて、できるかがデキル開発、宣伝、マーケティングかの分かれ道なのです。
まとめ
というわけで、今回は
「何のためにログボってあるの?」という視点から
「ログボっていらないんじゃないの?」という深掘りまでしてみました。
結果的にログボをこれまで通り実施する判断をするのも全然オーケーです。
ポイントは、たかがログボだけど、何も気にせず漫然と実施するのではなく
本当に必要なの?
効果を出せるの?
どうやったら効果出せるの?
といった考察ができるかが、デキル開発、宣伝、マーケティングの分かれ道になりますし
スキルアップにもつながるのです。
ところで、ログボといえば、たまに見かける「復帰ログインボーナス」「おかえりなさいログインボーナス」といった、辞めてしまった人に向けたログボ施策を見かけるのですが
あれはイケてないです。
「復帰」「おかえりなさい」というのは運営側の視点であって、ユーザー視点で見ると「復帰してよ」「おかえりなさい」と言われてもピンとこないものです。
なぜなら、何かしらの理由でそのゲームを辞めてしまっているわけですから、そのゲームに復帰するには根本的な離脱要因の解決が大前提ですし、その問題はログボという一時的な(見せかけの)報酬では解決できません。
冷静になって考えるとあたり前の話なのですが、「復帰ログインボーナス」「おかえりなさいログインボーナス」というログボは運営側の一方的な視点で作られた施策なのです。
つまり、ユーザー視点と運営視点の間に大きな乖離が存在するわけですが、これに気づいていない施策を多く見かけます。
辞めていない、今遊んでいる既存ユーザーから見れば
「復帰ログインボーナスとか言っているけど、このゲーム過疎ってるの!?運営大丈夫!?」と無駄な不安を与えてしまう恐れもあります。
特に運営日数の浅いタイトルで、既存ユーザーにこの不安とも言いますか、雰囲気を匂わせてしまうと、モチベーション低下につながりますので要注意です。
・復帰ログインボーナスをするならば、ユーザーが辞めた原因の解消をセットで
・復帰、おかえりなさい的なワードは使用NG
または、そのワードを使わないで同等の効果が見込める施策設計をする
というあたりがデキル開発、宣伝、マーケティング担当の分かれ道になります。
このあたりの詳しい話はまた別の機会にでも。